魔女と呼ばれた少女

STORY

ひとりの少女の物語に アフリカの"今"をちりばめた
ファンタジックな現代の神話

平和な暮らしを送っていた水辺の村から突然拉致され、反政府軍の兵士となった12歳のコモナは、死んだはずの人たちに導かれ、全滅必至のゲリラ戦から生還する。亡霊の見える力が次々と勝利を招き、ボスからも"魔女"と崇められるコモナだが、敵を撃つその銃はどこから来たのか、山から集める黒い石はどこへ行くのか、彼女は何も知らない。
やがて自分も殺される運命を悟ったとき、密かに愛を育んできた少年兵と、命をかけた逃避行の旅に出る-。

現代のミューズが"戦争映画"にリリカルな魔法をかけた…… 世界の狂気に祈りを込めて カナダの気鋭が綴る映像詩
監督は、アフリカの子ども兵士問題に衝撃を受け、取材を重ねてきたカナダ人のキム・グエン。10年間あたため続けた祈りが、未だ紛争の絶えないコンゴ民主共和国を舞台に、生と死、現実と幻想が交錯する魅惑的な映像詩として結実し、本年度アカデミー賞(R)〈外国語映画賞〉にノミネートされた。 さらに、監督自らストリートで見出した主演のラシェル・ムワンザが、機関銃を携える凛々しき女神のカリスマ性から、恋する乙女の可憐さまでを見事に演じ、アフリカ女性初のベルリン国際映画祭〈銀熊賞・主演女優賞〉を受賞。期待の新鋭とミューズとの運命的な出逢いが、少女のまなざしを通してのみ描かれる本作にリリカルな魔法をかけ、悲惨さばかりを強調しがちな戦争映画と一線を画す、忘れ得ぬ傑作が誕生した。